入院治療の目標
アルコール依存症の最大の問題点は、周囲の人との健康的なつながりが絶たれていくことです。酒のない人生を送っていくためには、まず断酒することが絶対条件です。そして、飲酒が原因で絶たれてしまった人間関係をどう再構築してくかが最大のキーポイントになります。
しかし、入院して断酒すれば、絶たれた関係が簡単に再構築できるということではありません。断酒することは問題解決への出発点(糸口)でしかありません。最終的な問題解決は、まだ先のことになります。
まず、入院中に、「飲まない”しらふ”の人間関係」を築くこと。そして、新しい価値観を身につけていくことで自分らしさを発見し、断酒する仲間とともに成長していく。そのプロセスこそが、入院の最大の目標になります。
治療の理論
当センターではARP(アルコール・リハビリテーション・プログラム)の理論を用い、治療を進めていきます。ARPとは、「酒のいらない毎日を送りたい」という動機を深め、断酒の技術・習慣を身につけるプログラムです。
具体的には、
- ・起床、ラジオ体操から始まり、食事、就寝時間まで規則正しい生活を送り、生活習慣を立て直す。
- ・勉強会で依存症についての知識を得て、飲酒によって起きた問題を振り返り、今後どうしていくかを考える。
- ・グループワーク(集団精神療法)でお互いの問題を分かち合い、支え合う関係を作る。
- ・作業療法を通して、”しらふ”で過ごす楽しさを体験し、身体感覚や感性の回復を図る。
- ・自助グループに参加して、既に断酒歴の長い人と出会うことで希望を持てるようになる。
これらすべてが実現でき、一人ひとりの回復力を最大限発揮できるよう、スタッフ一丸となって取り組んでいます。