治療について 当センターの特徴 -入院治療に特化-

当センターでは、継続的な外来治療は行っておりません。入院に特化した治療を行っており、来所相談で入院が必要と判断された場合についてのみ、当センターでの治療を行っております。なお、来所相談で、外来治療が適当と判断された場合は関連するクリニックをご紹介いたしますのでご理解ください。
 
入院治療には依存症の治療にとって様々な利点がありますが、以下でその詳細についてご紹介します。

安全である

依存症からの回復のスタート期には、こころが揺れます。「絶対断酒しよう」と思う一方で「もっと工夫すれば、上手に飲めるのではないか?」と、考えが毎日変わります。しかし、たとえこころが揺れても、入院することで治療的環境に24時間いることでアルコールに手を出すことなく、回復することに集中し、スタート期をより安全に乗り切ることができるからです。

病気を理解しやすい

依存症になると思考・感情も病んできます。長年病んでいると、それが性格なのか病なのか本人も家族も分からなくなります。しかし、人間の脳は、自分の矛盾より他人の矛盾が良く分かるようにできています。入院して、多くの依存症者の体験談を聞くと、「アイツ、飲んでひどいことをやってきたな」と冷静に見ることができるものです。そして、その結果として「待てよ・・・。俺も似たようなことやっていたな」と気づけるようになります。自分の姿を鏡に映すように他の患者さんを客観的に見ることで、現状を理解して、正しい判断を下せるようになっていきます。

回復のモデルに会いやすい

回復には欠かせない自助グループ*参加ですが、たとえ知っていても1人で行くのには勇気が必要です。しかし、入院によって、先に入院して積極的に参加している人や、スタッフと知り合うことができます。ともに同じ目的を持つ方が身近にいれば、自助グループに参加する習慣を身につけやすく、また回復した依存症者にたくさん会うことができるというメリットもあります。

*自助グループ:アルコール依存症を抱えた人が、同じ問題を抱えている当事者同士でつながり、断酒や仲間づくりを目的として運営している会です。

仲間作りが容易

依存症の大敵は孤立です。孤立した生活を続けるなかで自分が病気であることを忘れ、いざという時に助けてくれる人がおらず、死を迎えてしまう方が少なくありません。このような理由からも、「飲まない仲間作り」は、回復のために非常に大切です。同じ時期に入院していた方同士は、退院後も交流が続くことも多くあります。また、数10年の間に当センターを退院した方が、センター周辺の多くの自助会に大勢いて、温かく迎えてくれるので仲間作りも容易です。