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2021年7月20日「“食べる”を楽しむ!~当院での嚥下機能評価と嚥下訓練~」

こんにちは!内科病棟の看護師です。

梅雨の合間に初夏の香りも爽やかな季節。
当院の地下駐車場では、可愛いツバメの雛が誕生しています。
ご飯を持ってきた親鳥に向かい、小さな口を限界まで大きくひし形に開けて、ピイピイねだる姿を見ると、「食べるぞ!生きるぞ!」と生命力の強さを感じます。

さて、「生きることは食べること」とは思うのですが、私たちヒトは、生きるためだけに食べるわけではないと思います。様々な味覚や感触をキャッチする器官が口の中で、苦味や甘み、旨みを求め、硬さや柔らかさ、歯ごたえ、喉越しなどを求めます。食べることで得られる気持ち良さは、なんとも言いがたいものです。
そして、食欲は人間の基本的な欲求です。もし、心や体の何らかの理由で一度食欲が落ちたとしても、また「何か食べたい」という気持ちが湧き上がるかもしれません。しかし困ったことに、私たちの身体機能は使わないでいると衰えます。ただ食べ物を口に入れるだけでは、口や喉の機能の低下により、誤嚥(食べ物が食道側に行かず気道側に入ってしまうこと)し、最悪の場合は窒息する危険もあります。そこで重要なのが、どのようなものであれば食べられるのかを、患者さまの咀嚼(物を噛むこと)や嚥下(飲み込むこと)の機能に応じて評価することです。
当院では、口腔外科医師・内科医師・栄養士・看護師がチームとなり、口腔機能を評価する方法をフローチャートにしました。そのフローチャートを使い、内科病棟以外で精神科医師も口腔機能を評価し、患者さまの状態に応じた食事の提供を始めています。写真は、先日行った嚥下機能評価についてのスタッフ向け講習会のものです。デモンストレーションで内科医師が講師として参加し、盛り上がりました!
さて。口腔機能評価についてですが、残念ながら「咀嚼と嚥下機能が不十分で、まだ口腔内に食べ物を入れることは可能ではない」と判断されることもあります。その場合には、患者さまに応じた嚥下機能の向上を図る体操やマッサージなどを、栄養士と看護師で話し合って行います。また、OTによる作業療法の中で、身体機能の向上を目指すリハビリも行います。
ご自身やご家族さまの身体機能が衰えたとき、それでもまだ「食べたい(食べてほしい!)味わいたい(味わってほしい!)」という気持ちがあるならば、私たちは口腔機能の評価を行い、嚥下機能訓練をするなど、サポートをさせていただきたいと思います。

 食べることは生きること。しかし、ヒトは生きるためだけに食べるにあらず。

 ツバメの雛が元気にご飯を食べるように、私たちも元気に楽しく美味しく食べたいですね!