入院について

外来治療では問題解決が困難と判断された場合、入院治療を検討します。
入院治療の対象は『現在の生活環境では、困りごとや周囲の人との関係の改善が困難で、生活が破綻する可能性が高い方』です。
子どもの治療は、子どもだけが治療対象ではありません。ご家族や所属機関(学校など)を含めた“環境”がとても大切です。より適切な環境作りが治療に大切ですが、それが困難だったり、時間がかかったりする場合に、入院治療をご提案させていただきます。
入院では、普段の生活から少し離れた安全な病棟で、困っていることを医師や看護師、心理士、作業療法士、精神保健福祉士などの専門職のチームと一緒に考えます。また、一緒に入院している他の子ども達とのふれあいを通じて、元気になっていくことに取り組んでいただきます。同時に、ご家族や学校の先生など周囲の人々とも面談を繰り返し、入院前の抜け出せない悪循環を一緒に理解します。子どもはその中で自分の得意と苦手に気付き、自己についての理解を深め、新しい自分像を持つようになります。周囲の大人も、問題についての新しい認識や解決法、子どもについての新たな認識を持てるようにします。
つまり入院治療は、本人が『問題を形作っていた悪循環から抜け出し、元気なエネルギーを貯める。そして、自分の強みに気づき、再び地域生活の中で少しでも楽に生活できるきっかけやコツを掴むこと』と、周囲の人が『新たな目で本人を見て、新たな長所に気づき、新たな対処法をとること』が目的です。もちろん全てがうまくいく訳ではありません。例えば、長期入院では退院後の良い環境が準備しにくい場合や、ご家族と離れた入院環境に極度に適応できない場合などがあります。このように治療的でないと判断した場合は、入院治療を早期に終結します。私たち治療チームは、本人やご家族とよく話し合い、可能な限り納得のいく治療を選択していくことが大切だと考えます。治療の道すじに、正解はいくつもあります。それぞれの子ども・ご家族にあった治療法、入院期間を大切にしています。
なお当院かかりつけの方で、急激に困りごとが悪化し、子どもや周りの方が危機的な状況に陥る場合、回避するために緊急入院をご提案します。その際は一時的に成人の病棟に入院していただく場合があります。当院入院連携室宛にご相談ください。 当院かかりつけでない方で、緊急の入院が必要な場合は、通院先か、地域児童相談所や当日担当の緊急医療機関などにご相談ください。