精神科における代表的な治療法について説明します。一般的な精神科の病院またはクリニックでは、これらのどれか1つだけで治療をすることは稀で、これらを組み合わせて治療することで、より治療効果が高まると言われています。
精神療法
精神科医は、対等で自然な会話の中で患者さんの困っていることに耳を傾け、患者さんの病状を評価、診断します。その結果から患者さんに複数の治療を提案し、患者さんと一緒に治療をすすめていこうと努めます。このようなやり取りを通じて患者さんと精神科医の間に関係が築かれ、さらに深まった面接が行われるようになります。
薬物療法
精神科薬物療法は目覚しい進歩を遂げています。従来のような錠剤やカプセル剤だけではなく、液剤や徐放剤(成分がゆっくりと溶け出すタイプの薬で、服用回数が減らせる)あるいは長期持続型の注射剤など、剤型は多種多様となり、服薬の選択肢が広がりました。
このため、患者さんの病状や体質に応じて様々な薬が使えるようになりました。
精神科医は患者さんに病状を説明し、病状ごとの適切な薬物療法について得られる効果と副作用をあわせて説明します。
さらに患者さん自身のご希望もうかがいながら、処方内容を決定していきます。
修正型電気けいれん療法(m-ECT)
電気けいれん療法とは、頭部に装着した電極から脳内に電気活動を起こすことによって、さまざまな精神症状の改善を図る治療法です。
現在では全身麻酔下にて、筋弛緩薬を用いた修正型電気けいれん療法が主流となっています。全身麻酔下で行われるため、患者さんに多大な苦痛を与えることはありません。統合失調症、うつ病および躁病などが適応となります。
施行決定前には、患者さんやご家族に対して、治療の効果や合併症などについて説明を行い、同意された場合に行われます。
家族療法
精神疾患を理解することはとても難しいことです。患者さんの気持ちが理解できず困っているというご家族の声が、たびたび聞かれます。
精神科の病気によってご家族と患者さんの間で誤解が生じることが多くあります。精神科医は、症状とその背後にある患者さんの気持ちに配慮し、患者さんとご家族の誤解を取り除くお手伝いをします。
心理・社会的治療(リハビリテーション)
精神疾患によって失われた機能を回復させること、たとえ障害が残ったとしても、人間らしく生きる権利を回復するというのがリハビリテーションに込められた意味です。
当院では多職種による、さまざまなリハビリテーションプログラムを設けています。詳しくは、リハビリテーションのページをご参照ください。