特徴的な取り組み 電子カルテシステム

成増厚生病院では、精神科としては他に類を見ない精神科専門の電子カルテの開発・導入に取り組み、2003年(平成15年)4月より本格稼動を開始しました。導入されたシステムは亀田医療情報株式会社(導入当時:アピウス社)開発の高機能なWeb電子カルテシステムで、1999年(平成11)年に出された厚生省(当時)の「診療録の電子媒体による保存を認める通達」にある「電子カルテのガイドライン」として知られる以下の3つの条件を満たしています。

真正性

書き換え、消去・混同、改ざんを防止すること。作成者の責任の所在を明確にすること。

見読性

必要に応じ肉眼で見読可能な状態にできること。直ちに書面に表示できること。

保存性

法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること。

当院ではこの電子カルテシステムの情報技術を利用して、患者さんへのケアの充実、病院スタッフの連携強化による医療の効率化を図り、患者さんへのサービスと医療の質の向上をめざしています。また電子カルテシステムには患者さんの大切な個人情報が含まれていますので、セキュリティーについても様々な方策が施されています。患者さんのデータは一括管理されており、特定の限られた専属職員が責任を持って管理しています。

電子カルテシステム運用のパイオニアとして導入を行ってからすでに10数年が経過しました。この間、日本の精神科医療は「救急・急性期医療の充実」と、「地域医療・介護・福祉分野への広がりと連携」がほぼ同時に進み、私たちにとって電子カルテシステムはなくてはならないツールとなりました。言い換えるなら、電子カルテシステムがあったからこそ、急激な医療の流れの変化に遅れることなく、適切な医療サービスが提供し続けられたともいえるでしょう。 私たちのめざすところは、業務の効率化にのみあるわけではありません。患者さんにとって、医療にとって、本当に必要なサービスを提供できること。そして、そこで働く医療者にとって安心・安全なインフラを整備すること。これこそが、電子カルテシステムを導入し、運用し続けている理由なのです。