企業との連携 企業としての患者さんの受け止め方

「うつ病は誰でもなりうる身近な病気」という認識はすでに社会に広く浸透しています。しかし、その一方で、実際に職場内にうつ病と診断された社員がいた場合、周囲の人々がその対応に戸惑ってしまうことはめずらしくありません。
ともに働く仲間として、上司として、人事担当者として、本人との関係や立場によって、企業内の人々に求められるサポートのかたちは様々です。多くの方の抱く戸惑いは、こうした慣れない事態に直面した不安によってもたらされるものでしょう。しかし、うつ病に苦しむ本人を周りで支える皆さんにとって、共通して理解していただきたいことは、それほど複雑ではありません。

1. 「うつ病」という病について、正しい知識と情報を得ること

病気に関する理解が不十分だと、作業能率が下がったり、仕事を休みがちになるなどの目に見える行動の変化が、症状ではなく怠慢や自己管理の甘さとして誤解されやすくなります。それが本人の孤立を深め、苦痛を増してしまう事態になりかねません。正しい知識の習得は、本人の辛さや苦しさに気づき、寄りそう気持ちを育てる第一歩です。

2. 病気に苦しむ本人の、言葉に耳を傾けること

患者さんの多くは、周囲の皆さんの態度に非常に敏感です。患者さんが相手の戸惑いを感じ取り「気を遣わせているんじゃないか」「自分は会社に必要ない人間なのではないか」と不安を抱くことがしばしばあります。
過度に気を遣い、これまでの態度を急に変えるよりは、本人を交えた場で日頃の接し方に関する戸惑いや、業務での役割分担などを率直に話し合い、双方が安心できるように工夫することが大切です。

3. 問題を抱え込まず、企業や部署全体で協力体制を築くこと

管理職や人事担当者だけが理解していれば安心、というわけではありません。うつ病の予防や対策は、部署や企業全体の取り組みとして、全員が共通の認識を持っていることが望まれます。
たとえば従業員支援プログラム(EAP)や産業医など、早期からメンタルヘルスの不調について安心して相談できる機関やサービスを導入・活用していただくことも重要です。企業全体でメンタルヘルスの問題についてオープンに語れる環境を整えることによって、うつ病の予防や早期発見につながるなど、様々な効果が期待できます。
 
なお、当センターでは、患者さんのご入院中に、企業の方からの職場復帰に関することなどのご相談もお受けしています。